理事長メッセージ
全力でスポーツをやっている子供達にとってスポーツは全てと言っても過言ではありません。ですが子供達の身体はスポーツを行うにはまだ十分でなく、多くの障害を起こします。
投球障害肩や野球肘はその代表例で適切な時期に適切なケアが行われれば改善し、またスポーツに復帰する事が出来ます。しかし痛みがある肩や肘を酷使される環境があるのも事実であります。子供達は当然プレーを続けたいですので、出来るかと聞かれれば出来ると答えます。しかしながら、そこにストップをかけてあげるのが、親や指導者そして医師の役目だと考えます。
適切な時期に適切な治療が行われなかった投球障害肩や野球肘の末路は、スポーツどころでなく肘が曲がらず洗顔さえ困難になってしまう事もあり、重大な機能障害を残す結果となります。私達の役目としましては根拠もなく漫然とスポーツ禁止や種目変更を指示するのではなく、患部の治療とともに障害の起こった原因を取り除いてあげる事です。時には障害の程度によって一時的にスポーツを取りあげる事も必要な事でありますが、適切なリハビリを確実にやるのであれば、出来る限りスポーツを継続しながら治したいというのが私のモットーであります。
そのためスポーツ障害の予防や早期発見を目的に野球教室を定期的に開催しております。一人でも多くの子供達が障害のない状態でスポーツを楽しんでもらいたいと思っており、全力でサポートしたいと考えております。
整形外科 押領司病院 理事長 寺谷 威
アスリートサポートの目的
スポーツによって起こる外傷や機能障害に対応し、日常生活のみならず、競技生活への早期復帰を目指す。競技特性に合わせた予防活動、およびリハビリテーション治療を行う。
主な取り組み
野球教室
成⾧期の野球選手を対象に野球教室を実施しています。選手と監督・保護者の方々にご参加いただき、メディカルチェック(身体検査)、投球障害についての講演等を行っております。
スポーツ別問診票
日常診療において問診票を用いますが、アスリートに関してはスポーツ別の問診票を準備しております。そのスポーツの取組姿勢や、目指す場所等を記入して頂いております。それにより、競技特性に応じた診断・治療を行い、日常生活のみならず、競技生活への早期復帰を目指せるようにサポートします。
投球練習場の役割
当院の5階には、投球練習場が備えられています。この投球練習場は、野球選手などの未来ある選手をサポートするために作られました。野球におけるケガ、特に肘や肩に起こる投球障害について、ケガの初期段階から復調するまでの間、この投球練習場を使ってケガの回復状況を機械に取り込み、データ化することで患者さんの治療やリハビリ状況を「見える化」を実現できます。回復状況が数値によって見えると、精神的な緩和や次の目標に対する意欲が変わってきます。
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- 1. 投球練習
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投球練習場は、実際のマウンドと同じ距離で正確に作られており、野球用18.44mと少年野球用16mの2種類のプレートを備えています。ここで患者さんには実際ボールを投げていただきます。
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- 2. Rapsodo(ポータブルトラッキングシステム)で計測
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Rapsodo が患者さんが投げたボールの球速・ボールの回転数・回転軸・変化量などを計測してくれます。同時にPULSE THROWが、投げる際の肘への負担(エルボートルク)や前腕の高さ(アームスロット)、腕の振りの速さ(アームスピード)を計測してくれます。
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- 3. 瞬時に投球内容をデータ化
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取り込まれたデータは瞬時に数値化され患者さん自身が確認することができます。医学的な立場からより高いレベルの投球術や、ケガをしにくい投球フォームのアドバイスなども可能となります。
このように、当院は野球に特化した投球練習場の機械や設備を備えた全国でも類を見ない取組みを行っています。
リハビリ室のご案内
当院の4階にあるリハビリ室には、体力を回復するためのマシンや運動機能を回復するための設備が充実しています。また、理学療法士による評価・治療に基づいたリハビリメニューを策定して一刻も早い復帰に向けて医師と職員一丸となって対応しています。
アスリートリハビリテーション機器
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- 高精度体成分分析装置
- アスリートに必要な筋肉量や体脂肪率、栄養状態を約15秒で測定することができます。より高い目標を掲げるアスリートには必須の機器となっております。 高齢者もサルコペニア予防や目標とする筋肉と脂肪のバランスを確認に役立てることができます。
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- 高機能ケーブルエクササイズマシン
- ケーブルを使用した上肢・下肢の運動を各競技動作に応じて実施することで、体幹の安定性が向上し、より高いパフォーマンスを発揮することができるようになります。負荷量調整も可能ですので、手術をされた方や怪我からの復帰を目指している方にもお使いいただけます。
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- トレッドミル
- ランニングマシン。速度調整だけでなく傾斜調整も可能となっており、様々なアスリートにお使いいただけます。
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- エアロバイク
- 脚に負担をかけられない方や術後早期の方の心肺機能向上や下肢筋力強化のために安全にお使いいただけます。
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- トレーニングサイクル
- 競技用自転車タイプのサイクル。より高いレベルで心肺機能向上および下肢の筋持久力や筋力(大腿四頭筋やハムストリングス)強化が可能です。
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- レッグプレス
- 大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋の筋力強化が可能です。アスリートの下肢のパワーアップに貢献できます。